エコカルティエ認証(環境配慮型地区認証)は、フランス政府が推進する、持続可能なまちづくりに係る模範的な事業に与えられる認証制度です。ふなばし森のシティは、フランス国外では世界で初めて、2016年にステップ3を、2022年にステップ4を取得しました。
行政と民間と市民の連携のもと、環境価値を継続して創出し、低炭素型社会を目指す街づくりの実績が高く評価され、フランス政府住宅・持続的居住省(以下、仏住宅省)が推進する「エコカルティエ認証」(環境配慮型地区認証)ステップ3を、フランス国外では世界で初めて取得しました。
森のシティ自治会をはじめとする住民が、継続して主体的に推進してきた参加型の街づくりと、船橋市・野村不動産が、「ふなばし森のシティ」での知見を他地区での取り組みに活かしていることが高く評価され、フランス国外では世界で初めてステップ4を取得しました。
<ステップ3>
「ふなばし森のシティ」プロジェクトは、約1年にわたり調査が行われた結果、タウンミーティングやエネルギーマネジメントシステム、コミュニティ育成、地域循環型経済への支援など、エコカルティエ認証のすべて認定基準を満たしていると判断され認証取得に至りました。特に住民参加型のまちづくりとコミュニティ重視の精神が高く評価されました。認証の取得は、事業者としての持続可能で総合的な街づくりを行ったことへの評価となります。
エマニュエル・コス住宅持続的居住大臣(左端)より認証を授与
松戸 徹・船橋市長(中央) 中井 加明三・野村不動産会長(右)
<ステップ4>
今回の取得にあたり、野村不動産が船橋市との連携のもと開発を行った「ふなばし森のシティ」において、森のシティ自治会等をはじめとする住民による、包括的なコミュニティを目指した継続的な取組が評価されました。また、「ふなばし森のシティ」でのまちづくりでの経験を踏まえ、野村不動産・船橋市が、他の地域・不動産開発においても、住民自らが主体的に関わる持続可能なまちづくりを推進していることを評価されました。
2022年12月14日、パリで実施された認証式典での様子
(左から)Olivier KLEIN フランス政府都市・住宅担当大臣、宮嶋誠一 野村不動産株式会社 取締役副会長、関真也 森のシティ自治会副会長、 船橋市長代理 安井弘樹 在仏日本大使館 一等書記官、Florian BERCAULT エコカルティエ国家委員会委員長
持続可能な街づくりによって質の高い暮らしを実現することを目的に、フランス住宅・持続的居住省は、本認証を推進しています。本認証は、行政、民間事業者、居住者によって行われた持続可能な街づくりに対して与えられ、2013年以降500プロジェクトがエントリーし、2022年11月時点でステップ3は74プロジェクト、ステップ4は14プロジェクトが認証を受けるなど、フランスにおける持続可能な街づくりを推進する制度としての実績を誇ります。
認証取得にあたり、①事業の推進体制、②生活環境、③地域経済、④環境の4つのテーマ、
20の指標から審査が行われます。
< エコカルティエ認証 審査項目 >
「ふなばし森のシティ」の「スマートシェア・タウン構想」という継続的環境価値を創出する取組が高く評価され、スペイン・バルセロナ市で開催された、スマートシティエキスポ国際会議2013において「ワールドスマートシティ・アワード」プロジェクト部門賞を受賞しました。
本アワードにおいては、住宅・商業施設・病院等の大規模再開発において、実験段階ではなく、民間の事業として先端の環境技術を導入した点、エリアマネジメントの仕組みを取り入れ持続可能な低炭素型の都市生活基盤を整えた点が評価されました。
<受賞理由>
スペイン・バルセロナ市で開催された国際会議と展示会「スマートシティエキスポ国際会議2013」(Smart City Expo World Congress 2013)では、世界29ヵ国、400近い都市から約9,000人が来場、持続可能社会の構築に向けて会議が開催されました。この国際会議のコンセプトの発展に寄与する取組を表彰するために設立された賞が、「ワールドスマートシティ・アワード」です。この賞は世界銀行や外部有識者からなる選定委員会が評価し受賞者を決定します。都市部門、プロジェクト部門、イノベーション部門の3部門から成り、2013年には35ヵ国より合計で200件を超える応募がありました。
本プロジェクトは、空間やエネルギーをシェアし賢く使うため多彩な環境技術や情報通信技術により先進の低炭素型都市基盤を構築するとともに、風の流れや緑と太陽との関係といった快適な住まいのための古くからの住宅の知恵や工夫を取り入れています。また、街への愛着や誇りといったシビックプライドの醸成・共有を図りながらコミュニティの組成・育成を支援し、地域や街との関わりの深い活動を促すことで、地域に開かれながら継続的に街が活性化することを目指しました。人と自然と技術のつながりにおいて環境負荷を軽減し、人と人とがつながり助け合いながら進化・優化していく、「未来のふるさと」を目指したプロジェクトです。
主に森のシティの住民を対象としたグリーンカーテン育成支援プロジェクト。従来マンションではグリーンカーテンの育成が困難でしたが、「プラウド船橋」では全戸に育成のための設備をバルコニーに装備しました。また住民向けの教室を開催し、プラウド船橋一・二街区(総戸数573戸)のうち273世帯が参加、グリーンカーテンを育てました。また地域の保育園や商業施設、地域の老人会も参加するなど、緑豊かな街を住民自身の手で作り上げ、グリーンカーテンを通じてコミュニティが育まれる取組を行いました。
日々の文化的な活動の積み重ねにより、「この街らしさ」を住民自らが育むことを意図し、街づくりの取組の一環としてビックバンドを結成しました。音楽による地域振興の実績が多彩なヤマハの支援を受け、2013年5月に活動を開始しました。
住民と企業がよりよい街づくりについて話し合う場として、設立された「森のシティ街づくり協議会」。環境美化や防災など、住民全員にとって必要な取組を主な活動とし、事業主による3年間の運営サポート終了後は、 会員による自主運営を目指しました。設立3年目である2015年には、住民の発案により協議会が「森のシティ自治会」として船橋市の自治会として登録され、現在も90%近くの住民が入会し主体的な取組が数多く行われています。